第六回 アケモドロさん(染色作家)

2009年12月10日取材 インタビュー/原稿/写真:七里知子

アケモドロさん

個性豊かな作家さん、アーティスト、取引先の皆さんと毎日のように関わりながら成り立っている当店。そんな人々を探れば自ずと店の輪郭までもが浮かび上がるのではないかということで、スタートしました連載「いちじょうじ 人間山脈」。

第六回目は染色作家・アケモドロさん。果物柄やクッキー柄の手ぬぐい、風呂敷など当店でもおなじみの作家さんです。兵庫にて制作に明け暮れる彼女の作品づくりには一体どんな事柄が潜んでいるのか、その背景を伺いました。

―アケモドロとは沖縄の古語で「夜明けの空」という意味を持ちますが、作家名からも沖縄に縁がありそうですね。そもそも染織を始められたきっかけというものはどういうものだったのでしょう?

高校時代にニュースで見た象のオリ*1の基地問題などが印象的で、漠然となんですがとにかく沖縄に行きたかったんです。沖縄に行ってから芸大に入学して沖縄紅型を始めました。色々思うところがあって2年で沖縄を離れたのですが、その後各地を点々として、たまたま出掛けた大阪でお店の方*2に勧められて、また染色を始めるようになりました。

―現在も沖縄に頻繁に行かれていると思いますが、制作する上で何かイメージソースのようなものがあるからなのでしょうか?

沖縄の芸術祭に出展したり、スケッチをしたり、お世話になった先生や友達に会いに行ったりと、2.3ヶ月に一回は沖縄に行っていますね。住んだ年数は短いですが、やっぱり繋がりが多いのですぐに行きたくなってしまうんです。

―第二の故郷ですね。ちなみに最近は自然のものに興味があると仰っていましたが、今後の展開や抱負はどんな感じですか?

最近は物を作り出すことによる罪悪感とか引っ掛かりがないものを作りたいと思っていて、できれば作りたいものと作れるものが一致するようなものにしたいです。例えば天然染料とか天然素材を使ったり。古い素材や自然の色合いの良さを感じさせるものを作って行きたいと思っています。

―では最後になりますが、アケモドロさんにとっての座右の書とは?

全然古いものではないのですが…この本は最後にすごい仕掛けがあって、最初に読んだときはかなりきつかったというか、今の自分が分からなくなるような状態になったのですが、何度も読み返すうちにどのページを開いても響く言葉があって。きっとこの先何度も読み返す座右の書になるだろうなということで選びました。






作品と同じように、朗らかな透明感を持ったアケモドロさん。来年の3月にはアンフェールにてミニフェアを開催していただきます。新たな試みの新作が多数登場しますので、ぜひお楽しみに!

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*1 沖縄・読谷村にある楚辺通信所のこと。米海兵隊の施設極東一帯の電波を傍受する通信基地。

*2 大阪中崎町にあるplanetさん。現在もいくつか作品を取り扱っています。