第十九回 しまおまほさん(漫画家/文筆家)

2010年11月24日取材 インタビュー/原稿/写真:堀部篤史

個性豊かな作家さん、アーティスト、取引先の皆さんと毎日のように関わりながら成り立っている当店。そんな人々を探れば自ずと店の輪郭までもが浮かび上がるのではないかということで、スタートしました連載「いちじょうじ 人間山脈」。

今回は、5年前に『まほ&さいだあ≡EXPO』という展覧会を開催していただいて以来長い付き合いであるしまおまほさんにお話を伺いました。漫画家、イラストレーター、ラジオパーソナリティー。忘れかけていた頃にふとお店に顔を出してくれる彼女、今回はそのタイミングを逃さずにキャッチ&昼ご飯に連れ出しました!「まほちゃん」そのものがお仕事ともいえるような独特で幅広い活動を続けられるまほちゃんに、当店の『お店探訪』でもお馴染みあの特殊台湾料理屋で、ぼんやりお話を伺ってまいりました。

―そもそも恵文社と関わりあいになったきっかけってなんでしたっけ?

堀部くんがZEST*1にいた頃に、常盤*2さんたちと一緒に来てたしかみんなでボーリング大会とかやったの。そのときに知り合って、似顔絵描いたの覚えてない?次に店に遊びにきて、いつのまにかかせきさんと一緒に展覧会やることになってて。あんまり良く覚えてないんだけどその時は、ぬいぐるみでアイスクリーム作ったり、ちょっとファンシーな作品をたくさん展示したのかな?かせきさんはハグトンをもう描いてて。会期中はレンタサイクル借りて、スケボーのったかせきさんと京都をうろうろしてた記憶がある。『おやつブック』も作ったよね〜。トランスポップギャラリーでも何度か個展や合同展をさせてもらってたから、その度にお店覗きにきたり、打ち上げで呑みにいったりして。

―あの間違いだらけの寄書?先日めでたく完売しましたよ。ところで昨日はなんのお仕事で関西に来たんですか?

ベース吉本*3で「それいけbase文芸部」っていうイベントがあって、それに審査員として出演してきたんです。「銀シャリ」とか「ソーセージ」とか、そういう若手が色々出演してエッセイとかを発表するんだけどそれを観て批評するという仕事。あんな小さいイベントにわざわざ東京から呼んでくれるなんて不思議。交通費とかどうやって出してくれてるんだろう?

―いろいろとお忙しいですね。今後出版などのご予定はありませんか?まほちゃんとしてはそういうイベント出演とかのタレント活動と執筆のようなお仕事とどういうバランスなんでしょう?

できればどっちかだけじゃなくて、両方やっていきたいんです。単行本はたしか2007年の『漫画真帆ちゃん』以来、3年近く出してないんだけど、そろそろなにか出したいなと思ってます。『新潮』誌上でかなり長めのノンフィクション、奄美でおばあちゃんがなくなっているのを私が発見した時のことを書いたんだけど、それに加筆して出せれば良いなと。あとタマフル*4はもう始めて3年になって毎週土曜日は他の仕事や予定がいられない状態が続いてます。関西でもポッドキャストで聴けるので、聴いたことのない方は是非。

―最後に座右の書を1冊教えてほしいのですが。

うーん、いつもおすすめの1冊とか訊かれたときに大体紹介するようにしてるのがキョンキョンの『人生らしいね』っていう本。「Oliveの本」ってクレジットがある確かオリーブ誌上で連載されていたフォトエッセイ。キョンキョンってのちに自分の趣味とか前面に出していくんだけど、そのちょっと前で、アイドルであり個人としての好きなものもだしつつっていうバランスがなんか危うい感じで、自由じゃないちょっと可哀想な雰囲気がするのも好きな理由です。私もアイドルだったらこういう本出したいなあって(笑)

突然ふらりと店に現れて、おもしろ情報を色々置いていってくれるまほちゃん。自分のような凡人には理解不能なハイセンスと、ついつい質問したくなってしまうマイペースな活動振りは会う度に変わらずで安心します。そろそろ次の本の出版を楽しみにしている当店のお客様も多いことでしょう。新刊が発売された暁には、なんらかのかたちでイベントを・・・出来ると良いですね!

*1 今はなき、渋谷を本店とする輸入レコードショップ。当店店長は昔、そこの京都店でアルバイトをしていたことがあります。

*2 フォトグラファー、グラフィックデザイナー、そして無類のレコードコレクターとして知られる常盤響さん。

*3 難波にある吉本興業の小劇場。若手が主に出演する。

*4 TBSラジオの人気番組「ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル」略してタマフル。まほちゃんは同番組にレギュラー出演「ごきげんいかがですか?ミューズのぼんやり情報部」などのコーナーを担当する。