記念すべきお店探訪第10回目は、エリアを下鴨までひろげてレポートします。下鴨神社を中心に閑静な雰囲気ただよう地域ですが、緑は多くてもお店が少ないのが寂しいところ。そこに登場した一軒のカフェが今回の目的地です。

第十回 「yugue」さん

恵文社スタッフ間のみならず多方面でファン急増中の異色カフェ "yugue(ユーゲ)"さん。下鴨神社そばにあり、なごみ度は抜群。そして人見知りで知られる店主は既に名物的存在。今日はその不思議な魅力に迫るべくお邪魔しましたが果たして...?

(INTERVIEW & TEXT BY 能邨陽子)
2006/12/13


店主:Y・Dさん(の身代わりの愛読書)


入り口の風景。小さな花と手書きの黒板、古ぼけた自転車かご。写ってませんが、戸口には白い布が暖簾がわりにかかっています。


店内で一番居心地がよいとされている階段下の席。ちなみに2階は畳の部屋で、1階とは違った雰囲気が好評です。


美味!水餃子。店主こだわりのサッポロラガーとよく合います。器と木の匙もよい感じ。味だけでなくカトラリー類にもファン多し。

開店してどれくらいになりますか?またお店の名前の由来をあらためてお聞きしてよいですか?

( 以下、以下、「」内はyugue店主のYさん )

「さあ...1年か2年かな、どれくらいかな。あと、由来は特にないです」

− そんな適当な。それにどこかで店名は「湯気」からだって書かれてましたよ! *1)

「そうですか?じゃあそういう事にしておいて下さい... 本当に適当なんですよ。深く考えないで」

− こちらはYさんと奥様、そしてもうお友達で運営との事ですが、この建物はもともと民家だったんですよね。改装などはご自分たちで行ったんですか?

「そうですね、後は友人数人にお願いしてみんなで一緒にやりました。でも適当ですよ」

− 店内にはランプや小さな棚、カゴ、ポットにいたるまで絶妙のセレクトと配置に思えるのですが、こういったインテリアに関するモノはみんなYさんが?

「ひろってきました」

− そこでも適当なんですね...。始めたきっかけも適当?

「うーん。前の職場も飲食に関係あったようななかったような...だからですかねえ」

− 適当ですね。でも今やこのお店のファンだという人は私の周りにも相当数にのぼっています。リピーターも増えたでしょう。

「そんなことは無い!だってお客さん少ないし。それくらいの方がペースが保てていいんですけど、でも人気だなんて。いつも心配ばっかりしてますよ。感じ悪いって思われてないかなあって。」

− だってものすごい人見知りですよね。写真掲載も嫌なんでしょ?*2)

「嫌です!無理です!」

− じゃ話を変えて。このお店は『三好さんとこの日曜日』*3)という漫画の世界を理想としているとも聞きました。理想には近づいてます?

「ううーんわかりません。でも「三好さん」の本は好きで、見つける度に買ってしまうから店内にもう3冊もあるんですよ」

− そういえばあちこちに...。他にも様々な本が棚やテーブルにあるんですが、こういうのも、よく見るブックカフェと違って、店主が好きな本を自然に置いているという印象を受けます。脈絡があまりないように見えるんですけど、個人の本棚ってそもそもそういうものですよね。


「ま、適当ですけどね」

− 置いてあるDMも関係があって設置してるのかと思えば...

「どっかでもらったのを気に入って飾ってるだけ、というものもありますです」

− 音楽も適当にかけている?

「何をかけるかはまあ適当です」*4)

− じゃあメニューの話くらいまじめに(笑)。メインのフードメニューでもあるベーグルがものすごくおいしいんですけど、ご自分で焼いているんですか?

「うーん...そうです...けど...まあまあって程度ですよ。きっと」

− なんで言いよどむんですか。他、ケーキも水餃子などのフード類もとにかく美味。これで調理の経験があまりない(あくまで自己申告ですが)なんて信じられない。「シモガモジンジャー」なる生姜風味の駄洒落(目の前の下鴨神社とかけています)ドリンクメニューもあって面白いんですが...。

「シモガモジンジャーにはふれないで下さい!」

− ...ところで、とりとめのないまま終わっても何なので、このお店の空間を形作っているYさんの好きなものをお伺いしていいですか?

「三好さんとこの日曜日」「nakabanさん」「stock room」「sakana」「猫」「いましろたかし」「しめさば」「Jad Fair」「コンビニのヤキソバパン」「(かわいいけど)性格の悪い女性」「心の広いお客さん」...以下略。

− では最後。今後の展望はどんな風に?

「とりあえず開店10周年を目指したいですね。お客さんが "明日も頑張りたいな"って思うような店にしていきたい。でも感じが悪くてもなぜだか人の集まる店、ってのが理想ですね。恵文社みたいな!」

− それは...どうも。

 

予想はしていたのですが、とりとめのないというより、煙に巻かれたような感じのインタビューに終止しました。本音を言わずにふわふわと紛らすのがまた心憎い人見知りカフェ「yugue」(それゆえかこの原稿も校正の段階でざくざくカットされたという後日談が)。建物のそのひなび具合、置かれた小物の存在感、不思議な居心地のよさ、販売している小さなクッキー袋の信じられないくらいの愛らしさ。立地も含め、今の京都だからこそ醸し出せているかもしれない希有な味わいは、このまま変わらずぜひ続いて欲しいもの。ご来店の際は、くれぐれも人見知り店主にはあまり注目なさらぬよう。

*1 「夕餉」という説も、ただ単に響きがいいからという説も。結局謎のまま残されました。
*2 グレゴリ青山の近著『しぶちん京都』でも「人見知りカフェ」と紹介される。
*3 三好銀 著。1992年小学館発行。現在絶版。
*4 おすすめCDは... 川手直人「困り煎豆」、SAKANA「SUNNY SPOTLANE」、fly hoop「Inverness」、SUZUMENBA「enitohanicolte」※以上、すべてyugue店内で販売中。

 

 
 

yugue(ユーゲ)

京都市左京区下鴨松原町4-5
075-723-4707

不定休(気持ちは15:00くらいに開店、大体無休...とのこと)
「12月はシュトレンを売ります。ご来店お待ちしています。宣伝!」(Yさんより)

 

主なメニュー

コーヒーほか各種ドリンク ...400円〜
ベーグルサンド各種 ...250円
水餃子 ...500円
焼き銀杏 ...250円
シモガモジンジャー ...450円

ほかスープメニューやスイーツ等バラエティに富んでいます。持ち帰り用のクッキーなどもあり。ベーグルも販売しています。

 

 

 

           
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